業務内容

会社法(特に株主の権利行使)

前事務所では、会社法に関連する業務が全体の半分以上を占めており、その中心は、株主としての権利行使のサポートでした。

具体的には、株主として株主総会の議案を提案する株主提案、取締役が会社に負うべき損害賠償義務を会社に代わって追及する株主代表訴訟、取締役会議事録の閲覧を求める裁判などの業務に携わってきました。

コーポレートガバナンスが叫ばれて久しいですが、依然として日本の会社において株主は軽んじられています。PBRが1倍を割って株価が解散価値を下回っているにもかかわらず、内部留保を溜めこみ株主価値の向上に手をこまねいている企業が数多あるなか、「株主、社員、顧客すべてのステークホルダーのために」などというお題目は、日本では100年早いと感じます。会社は株主のものであるという大原則が現実社会で貫徹されるようになったときに、初めて日本の会社組織は健全に成長できるようになると思います。

前事務所での経験を活かし、会社法を中心とした専門性の高い案件に関与していくことを通じて、日本の経済発展に少しでも寄与できればと思っています。

一般民事

一般民事事件は、弁護士の職務の中心です。相続、離婚、貸した金が返ってこない、など日常的に誰の身にも起きうる事件であり、一般的に弁護士の出番と捉えられているものです。

弁護士は、他人のトラブルが飯のタネという特殊な職業ですが、その職業倫理と能力が最も問われる場面は一般民事です。弁護士である以上、知人、友人その他ご縁のある方々の身に深刻なトラブルが起きたときに、「こいつに相談しよう」と駆け込んで話をしたくなる存在でありたいと思っています。

刑事事件(特に起訴前弁護)

日本の刑事裁判の有罪率が99.9%であるというのは有名な話ですが、なぜそのような異常に高い有罪率が叩き出されるのかというと、有罪の立証ができず無罪判決が出る可能性がある事件は、起訴前の段階ではじき落とされている(検察官が不起訴処分としている)からです。推定無罪という大原則があり、有罪か無罪は裁判で決めるのが近代国家のはずであり、裁判官でもない単なる行政官である検察官が事実上の有罪・無罪を判断し、被疑者の身体の自由を左右している状況は、本来おかしいものではあります。

しかしながら、現実問題として、起訴されてしまうと、その後の裁判は長期化し、かつ、無罪を勝ち取るのはとても難しいのです(何しろ0.01%です)。そうすると、一刻も早く身体の自由を取り戻すためには、起訴前の段階での弁護活動がとても重要ということになります。

以上の観点から、前事務所に在籍した14年間、起訴前の段階での刑事弁護に積極的に携わってきました。この間、国選弁護と私選弁護を合わせて、10件以上の不起訴処分を得ました。自画自賛となりますが、業務の中心が刑事事件ではないなか、なかなかの成績だと思います。

起訴前弁護で必要となるのは、ただただフットワークの軽さに尽きます。被害者から「●●してくれたら示談する」と言われたら、即座に必要な手はずを取り、問題がお金であればお金を親族からかき集めて握りしめ、被害者の気が変わらないうちに面談してお金を渡します。謝罪文を出すよう求められたら、即座に謝罪文を書いてもらうために警察署へ接見に行きます。逮捕時に警察から暴行を受けて病院に行ったという事情があれば(実際にあった事件です)、その病院へ行って医師から話を聞いて意見書を作ってもらって検察官に提出します。ここで必要なのは、ただただフットワークの軽さです。

引き続き、起訴前弁護を中心とした刑事事件に関わって、不起訴処分の獲得を重ねていきたいと思っています。

英語、音楽

学生時代は、弁護士になることなど考えたこともなく、アメリカ文学を読み漁る日々でした。その時代の名残なのかいまでも英語は好きで、たまに趣味で翻訳をしています。敬愛する音楽家でありメディアアーティストであるテーリ・テムリッツさんの文章をたくさん翻訳できたのは、とても嬉しいことでした。弁護士業務においては、英語での契約書レビューを継続的に手がけてきたほか、逮捕されて異国の留置場に入れられ心細い思いをしている外国籍の方と接見し、英語でやりとりをすることも数多く行なってきました。今後も英語を必要とする業務には積極的に携わっていくつもりです。

文学とともに人生の支えであったのが音楽です。18歳で東京に出てきたのは、好きなバンドが東京でライブをやっていて、いつでも観られるという動機でした。過去を遡っていくことの多い法律と、いまここにある存在である音楽とは、正反対のかけ離れた世界ですが、だからこそ、自分の人生から音楽がなくならないようにしたいと思っています。かつて、友川カズキは「ライブを観る行為はクリエイティブである」と述べました。その言葉を胸に今後もライブ通いを続けます。

弁護士

弁護士(第一東京弁護士会)吉田 泉(よしだ いずみ)
略歴1974年2月 米国ミネソタ州生まれ
1992年3月 久留米大学附設高等学校卒業
1997年3月 東京大学法学部卒業
2006年10月 弁護士登録(第一東京弁護士会)
2007年7月 渥美総合法律事務所・外国法共同事業入所
2008年9月 間宮総合法律事務所入所
2009年9月 中島・宮本・溝口法律事務所(現「銀座数寄屋通り法律事務所」)入所
2024年1月 当事務所開設
所属研究会等クリエイティブ・コモンズ・ジャパン
一般社団法人日本タトゥーイスト協会 顧問
尊敬する人(五十音順)デビッド・リンチ
テーリ・テムリッツ
友川カズキ
中上健次
中村達也